奄美、について

 今回の奄美行きは、体調が悪かったこともあり、正直なところあまり「行きたい!」という精神状態にはありませんでした。でも上の子はすっかり奄美フリークで、とても行きたがっている。ばあちゃんのちょっとしたお手伝いもしないといけないし、ということで前回のようなわくわく感はほとんどなしで飛行機に乗り込みました。
 初日、傘をさしながら犬と遊んでいる上の子や、水を得た魚のように動き回るばあちゃんを見て、ちょっと心が軽くなりました。つれあいが来ているわけでもないのに遊びに来てくれる親戚たちもうれしかったです。1日目、2日目は少し休養する時間が必要だった(なんでか早朝覚醒が続いた)けど、子どもをばあちゃんと犬と猫に預けて一人で買い物に行ったり、ついでに裏道まで見つけてしまったり、なんだか自分の家の周りを走っている感覚でした。
 3日目はばあちゃんの通院の付き添いと、役所でのちょっとした手続きのお手伝い。昼食後、子どもと2人でお墓参りに行きました。
 墓地からは海が見えます。「しばらくこの海ともお別れだねぇ」と話しかけると、「そうですねぇ」と子ども。「最後だから海に触っていい?」と聞くので、「いいよ、父ちゃんも触る」と二人で波打ち際に。冬の奄美の海は割と荒いことが多いそうですが、この日はとても穏やかな波でした。
 大型ストアとコンビニと、古本屋と電器屋、それに病院と役所の窓口くらいしか行かなかった奄美。でも、今回も「行ってよかった」と思える旅でした。子どもだって1日くらい学校休ませてもいいさ、もっと大事な経験があるんだもの。海の帰り、彼は私が何か問いかけるでもなく、自分からこんなことを言いました。
「父ちゃん、オレねぇ、内地よりシマがいい」。いろんな意味を含んでいるのでしょう。なぜかという理由は聞かずに、「そっか」と答えました。