かんから三線と奄美三線

 よく、うつになると『何もやる気がしない』『趣味が楽しめない』というが、私の場合は微妙に違った。へたくそなクセに楽器をいじっていると心が落ち着くのである。今回はとんでもない方向へ走った。

 まず、沖縄にある「まちだや」(Home | 三線工房まちだ屋 - MACHIDAYA)で「かんから三線」を通販で購入。ご存知の方も多いと思うが、戦後の物資難のときに、沖縄の人が米軍の缶詰の空き缶を使って作った楽器である。もちろん今はちゃんとした生産ルートがあるのだろうが。これで沖縄三線の練習を始めた。
(これは近所にできた沖縄物産店『わしたショップ』の食堂で楽器を触らせてもらったことが大きく影響している)さらに、『沖縄三線.com | 目玉商品は時々チェックしてね!』で人工皮の三線を購入、弦とバチを換装し、奄美三線用にした。
 沖縄と奄美三線はぱっと見が同じなので同じ楽器だと想像されやすいが、弦の太さやバチが違い、音の高さや音色が変わってくる。わりと明るく陽気なイメージのある沖縄の民謡に対し、奄美の民謡は哀愁を帯びた三線の音色が印象的だ。
 かんから三線のほうは、楽譜もろくに見ず、BOOMの『島唄』を手始めにBEGINの唄などを適当にコピーした。『オジー自慢のオリオンビール』も何とかなるくらいである。また、楽器自体空き缶に棒を通しただけのような手軽さなので、こどものおもちゃとも化した。
 ところが奄美三線は強敵だった。
 実は大学で2年間だけ三味線(長唄)のレッスンを受けたことがあるので、すぐ何とかなるさと思ったが、教本のわかりずらさとわからないことを人に聞けない独学のつらさ、それから、島唄をろくに覚え切れていないことが最大のアキレス腱だった。じぇんじぇん上達しない。これではいくら安物人工皮とはいえ宝の持ち腐れだ、と連れ合いの実家・奄美から送られた黒糖をなめながら悩むのであった。
 10/23に奄美唄者の第1人者築地俊造氏と中野律紀さんのライヴを新大久保のR'sアートコートに聴きにいけることになった。奄美2世でもある子ども2人を連れて、耳と目を皿のようにしていってこようと思う。ってこんな休職期間でいいのだろうか。